脳とおたく心のノートとなるトコロ

しらこ(Tw:triad_prms)の雑記。アイマスの話が多くなりそう

ガチャブという謎概念の解釈

noteでの最後の投稿。ノワールの人選を見てからこれを投げるのは不誠実なので、 誰が来てもいいように上の時間の通り滑り込ませた。
細かく前提条件の設定をしないと広範すぎるテーマにも関わらず、全体を意識せず作ってしまったので話にまとまりがない。また、このレベルの長さ(12000字)になると脚注が死んでしまうので、スマートにするなら多くても4000字程度で区切った方が良さそう。



先日、第10回シンデレラガール総選挙&第2回ボイスアイドルオーディションは4月19日からの開催が発表された。期限は例年より少し短めの、4週間後の5月16日(18:59)までだ。
前回の投稿で「4月のノワールで文香が来てイージーウィンじゃね?」「いや5月ノワールも期間に含めるんじゃないの?」みたいな簡単な予想をしていたわけだが、この日程だと、両月のノワールフェスとも選挙期間に含まれずに展開していく可能性も出てきた(※1)。


そもそも、なぜノワールフェスと総選挙期間の関係に注目していたのかというと、ひとえに「ガチャブ(ガチャブースト)」の存在があるからだ。大雑把にいうと、投票券が手に入る課金セットにガチャチケが付いているので(あるいはその逆)、選挙期間中のガチャで登場したアイドルは、課金されやすく=順位が上がりやすくなるという仕組みがデレマスにはある。
……というのが従来の認識であったと思うのだが、ガチャブというものの形や効果は少しずつ変化しており、特に去年以降の変わり方は大きかったのではないか、という感覚がある。今回の投稿では、これまでの選挙を簡単に振り返りつつ、ガチャブというものの性質を探り、この感覚の正否を考える。
(といっても、モバゲー版はほぼエアプなので、伝聞と推測を交えた記述が多くなってしまう)


※1:これまでのノワールフェスの期間について
原則、月初限定→恒常→ノワールという順で来ており、日付でいうと各月の15日前後から3日間開催されていた。現在の松尾千鶴ガチャが4/16までなので、ノワールフェスは千鶴ガチャ〜選挙開始直前の期間に開催されるとみるのが自然だろう。5月も同様の流れになるなら、5/16の15:00~18:59の間のみノワールフェスと選挙期間が重なるかもしれない。しかし、選挙とガチャが一部期間だけ被る前例がないわけではないが、短時間すぎるので、ノワール以外の期間をどこか1日伸ばすことでお茶を濁しそうな気がする。

 

1.金=票数の時代

第1〜4回まで。エアプなので語れることはあまりない。
①第1回 (12/07/18~25)

画像1

SRがない子の方が多く、当時与えられていたカードの性能が順位に大きく影響したらしい。

②第2回 (13/04/25~05/08)

画像2

初選挙のアーニャの大躍進を含め、Cu,Co率が上がり、「変なアイドルがいっぱい登場!」がウケたフェーズは早くも終わったように見える。

③第3回 (14/03/31~04/18)

画像3

1stライブを跨いで開催された絶妙な時期のよく出来た結果。ガチャブという概念の確立はここからという印象。(当時の比較的フラットな感想記事)

④第4回 (15/03/31~04/17)
 &アニバーサリーボイスアイドルオーディション(14年冬)

画像4

アニメの谷間。アニメで露出の増えた子vsガチャブ勢というそれぞれの正義がぶつかったような結果。当時、塩見周子を知らない中でアブナイのCMを見て、なんとなく検索したらコメ欄が荒れに荒れている「もばます!」の記事(多分これ)がヒットしたのを覚えている。
(3回、4回の上位メンバーの中で一人だけ未だにボイスのない子がいますね…)

2.広くなる間口

第5〜8回まで。振り返ってみると正直この辺もエアプだったのでおさらいだけ。
①第5回 (16/04/08~05/09)

画像5

デレステリリース後初めての選挙(デレステから投票はできない)。自分はここから参加している。速水奏にガチャブがかかると予想しており、それが当たったのが嬉しくて初めてモバゲーに(少額だが)課金した。30%チケか何かで卯月を引けて、それを手放して得た資産で[ミッドナイトレイヴ]を買った。

この回から無課金で手に入る票数が従来よりずっと多くなり、同時にガチャブの効力も弱くなったらしい(課金票に天井が設けられた)。卯月は中間発表の時点でぶっちぎりの票数を獲得しつつ[笑顔の原点]とかいう最強のカードも用意されているという磐石ぶりだったので、どんなルールであっても勝っていたような雰囲気はあるが。
ちなみに、課金ガチャで手に入る投票券が約1600枚、それ以外で手に入る投票券が500枚くらいで、卯月のガチャは全て引き切ると課金ガチャ分の投票券のうち380枚程度を入手できたらしい。(参考)

選挙への参加ハードルが下がったことの影響は、アニメ効果を存分に享受した卯月や楓のみでなく、3位以下にも色濃くあらわれている。3,4回選挙での新規ボイス獲得組と並ぶ高順位を、直接的な後押しなく記録した声無し勢の多さからは、声をつけることの味を占めた層が多くなったことが見て取れる。

②第6回 (17/04/10~05/09)

画像6

中間発表→浮動票流入の流れと、俗に言う“声つけ選挙”が定番化。無課金票は最大500ほどで、ガチャ周りについても5回の形式を概ね踏襲したらしい。

③第7回 (18/04/10~05/09)

画像7

順当に本田未央さんが勝つかと思われたがウサミンが語呂合わせの一点張りで大躍進した。
6回で新たにボイスを獲得した子たちは藤原肇を除き圏外に吹き飛び、Paが上位に少ない都合で全体17,19位でもボイス獲得や選挙曲への参加を果たすことのできた、選挙の問題点が最大限に可視化されたような回。

さらにもう1点見ると、Lippsのメンバーや佐藤心などが順位を上げていて、その背景にあったと推測されるのが今回からのルール改定、“デレステからの投票解禁”である。
両媒体で手に入った票(課金+イベ等)は、モバが約1240+510票、ステが500+95票とややモバゲー側に偏ってはいるものの(どちらも課金票の単価は約300円)、半年保つガチャチケのついたデレステ側の選挙セットが大きな力を持ったことは想像に難くない。

④第8回 (19/04/16~05/14)

画像8

色々な意味で祭りだった。個人的には最上位陣の中での属性のバランスが良いことくらいしか好意的なコメントができない。8回的盛り上がりを楽しんでいたPさんたちは、まだシンデレラを追っていますか?
7回同様にデレステからの投票が可能で、モバゲー版では課金票無課金票の差がさらに縮んだ。具体的には、(たぶん、)モバが課金1485+無課金902票、ステが課金1000+無課金122票だった。

次に見る9回での大幅なレギュレーション変更から、この回で運営が色々とめんどくさくなったように感じるが、これを邪推だと完全に言い切ることはできないだろう。

 

3.第9回選挙

20年4月17日から同年5月15日まで、ボイスアイドルオーディションと並行して開催された。過度な盤外戦術に対し運営から直々に釘を刺されたことと、票数のインフレにより、割と純粋な課金力勝負になった(ように見える)。

画像9

top10の中で美波を除いた9人は昨年の声付き上位9人なので、6回以来の持ち回り選挙的性質は特に改められてはいないのだが、毎年ランクインしていた15人前後の(選挙時)声無しがほぼいなくなったことで、「へへへ…実はずっと50~60位にいたんスよ…」みたいな雰囲気の層から何人か引っ張り出された。

票数でいうとモバが30000+903票、ステが30000+888票、かつ課金票単価が約10円になり、モバ・ステの格差がほぼ無くなった。
値段設定や無課金票との比率はともかく、年々ユーザーが減少傾向にあるのを考えると得られる(課金)票のインフレは(見栄えのために)ある種当然な気はする(※1)ので、今年は1セットあたり500票とかもらえそう。今年の総選挙もこの形式がベースではないだろうか。

※1:票数と規模の比較
8回選挙で確保できたMAX票数は約3500で、9回選挙は約61800なのに対し、未央の得票数が300万で加蓮が1700万だった。持てる票数のインフレと得票数の伸びが見合っておらず、一見するとコンテンツの規模がかなり小さくなったようだが、その傾向はあるにしても、それよりは、無課金票と浮動票が一定の勢力を持っていたであろうことに注目すべきだろう。中間発表での上位勢がさらに票を伸ばしていたこれまでの総選挙を見ると、「勝ち馬に乗りたい人」「死票を生みたくない人」は確かに存在し、そういう人たちは中間発表のない9回においては非公式の出口調査を頼ったり、(勝ち目が薄くとも)素直に自分の担当に票を投じる必要があった。このような背景があったと推測できる9回選挙は、(浮動票を大きく吸い込んでいたtop3のような例外はあれど、)概ねフラットな人気投票に近く、したがって票も例年と比較するとなだらかな傾斜で分布していたと考えられ、8回と票数を単純に比較することは危ういといえるだろう。

4.ガチャブとは?

長い前置きを終え、ようやく本題に入る。この投稿を書くにあたり、ニコ百やピク百を参考にする際も、とりあえず票数や順位についての記述のみ見てきた。さすがに3回のngsや4回の和服ガチャなど有名な出来事は知っているし、当事者として参加していた回の思い出話もできるが、これまでの長い歴史の中では、知らないこと(や、忘れたこと・気にしなかったこと)の方が多い。なので、まずは感覚ベースでガチャブの輪郭を自分なりに描いてから、事実(のように見えること)を擦り合わせ、理解度を深めていくという手段をとりたい。

いま、ガチャブの正体を掴むにあたって注目すべきは、
①希少性 ②空気 ③懐事情 ④物語
という四つの要素だと考えている。個々人がそれぞれの感覚に基づき、ガチャの出番における上の要素の度合いを判断し、ガチャブが起こる前より票を入れたくなり、それが一定規模のムーヴメントとして起こって、ようやくガチャブ成立ではないだろうか。
これまでの選挙結果を見ると、かなりの数の浮動票が“物語”や“プロデュース体験”を求め彷徨っており、そんな中でガチャブ(と中間発表)が有力な候補の提示である場合があり、しかしその流入先を決める判断基準はそれなりにシビアだったと言えるだろう。

つまり、ガチャブは「結果」である。塩見周子がシンデレラガールに輝いたのは票を入れたくなり、票を入れた人間が居たからで、月末1番手で登場したら誰でも無条件で勝てるわけではない。特に、下の方の順位は団子状態であることが予想されており、下位での数位単位の変動は、ガチャブに関係なく簡単に起きていることが予想できる。
さらに、言ってしまえば、シンデレラガール総選挙で保障されているのは、最上位層の特定の形の出番のみである。中途半端な形でランクインしても実益はなく、圏外の子に至っては手応えすら掴みにくい。そんな中で、大きな伸びしろを期待しにくい子にガチャブを与えることは、浮動票の流入や課金票の競り合いを防ぐという観点から、むしろ、上位の(ガチャブを受けなかった)メンバーが圏内・総選挙曲圏内に入ることの手助けにすらなっている。
そして、運営がこういった要素を把握していないわけもなく、一部の被ガチャブ者たちは、総選挙のメインストリームでないことを前提にガチャブを与えられている、と言えるだろう。つまり、丁寧にこの語の意味をとるなら、そういった子たちの選挙期間中のガチャの出番をガチャブと呼ぶべきでない、というのが現在の自分の意見だ。

逆に真にガチャブたりうるガチャブは、上であげた①〜④の(いずれかの)要素を少なからず持ち、かつ結果として反映させた場合だろう。「運営からの想いを感じ、今、この子を応援するのが価値あることだと思った」人が多かった場合に結果として表出するか否かを判断の基準とした方が良いのではないかと思っている。
つまり、結果を見るまではその出番がガチャブであったかは推測でしか語れないということ。(結果を見ても推測だろ、というのはその通りだが、それを事実であるかのように断じることはできるのか、というのがこの投稿で探っているところである)
次節において、過去のガチャブ(に見えるもの)を何件か振り返り、この要素に基づいた出来事だったのかを見ていく。

また、ガチャブを構成する要素を考えてみたことに関連し、ガチャの意味については個々人の感覚や知識を後付けできる(と言える)ことにも注目したい。
例えば、今年の選挙期間中にかな子のフェス限が登場したとする。その後、(あくまで例え話として、)『ねぇ待って??特訓前に描かれてるのってかな子ちゃんの歴代の衣装じゃない???10回目の選挙で10年の積み重ね見せてくれるのエモすぎ泣いた』みたいなツイートが万バズし、その後劇的にかな子の得票数が伸び30位くらいにランクインした場合、「ガチャでかな子が登場した」こと自体が順位アップの直接的な原因とは言いにくく、該当ツイートの功績が大きいとみるのが自然だろう。しかし、このような場合でもガチャブに分類するべき、というのが自分の主張である。このツイートは一次創作を受けた二次創作的性質を持つ文章で、一定の価値を認められるべきでものであると同時に、運営の提示した意図の分析・共有を同志へ図ったものでもあり、それが受容された場合それは一般的な解釈で、(特に同担で界隈を形成しがちなアイマスP文化圏では、)皆いつか気づくものだったとみなすのが妥当だろう。
話が逸れたようだが、要は「ユーザーが役割を持つ」「プロデュース活動をする」的なことを考えると、総選挙中のガチャは良いきっかけになり得ますよ、くらいの話。認識の共有や気持ちの後押しはユーザー間で行えて、それによって運営が捨てるつもりだった枠も、終わってから「ガチャブだった」と言わしめることが可能になるはず。究極的には選挙もガチャも関係なくいつでもできるが、わかりやすい連帯の機会である総選挙を活かせる人が増えるとコンテンツ自体も活発化すると思う。

 

5.答え合わせ

ガチャブっぽい事例とガチャブっぽいけどそうじゃなかった疑惑の事例を探して要素を分解する旅。
(明確に“ガチャブでない”と言えそうな事例を具体的にあえて挙げることはしない。票が見えない範囲については全て傲慢なジャッジになってしまうので)

予想順位 < 空気×物語×希少性×懐事情

前節の内容を踏まえ、無理やり式で表現してみると、こんな場合の時にガチャブが成立した、とみなしてよいのではないだろうか。左側は数字で右側は感覚の話なのでめちゃくちゃな並べ方ではあるが。
以下、それぞれの要素について簡単な解説の後、いくつか事例を並べる。

①予想順位
それまでの順位から見るその年の予想順位。レギュ変などがない場合は原則横ばいで、(P層に合致した)公式での出番と二次創作数などの総合的な露出の多さと、順位の上昇傾向そのものによって上昇し、声がついた直後や、CGになった後に下降するものとして考える。いわゆる逆ブ(6節で言及)の影響もここに来るものとする。
②空気
声がつきそうな子、上位に入賞しそうな子の後押しなど、自分の票に対価を求める度合い。中間発表の上位層が月末で出て伸びる場合などはこれが重んじれらたとみなせるだろう。個々人の感覚というよりは偶発的にできた世論に合わせていく感じ。
③物語
選挙にまつわる物語への重きの置き方。積み上げてきた順位や、背景にあるストーリーへの注目など、②空気よりも少しアイドルに寄り添っている要素という認識。
④希少性
ガチャの形式など、どれくらい価値のある出番(と感じる)か。意外なキャラへのガチャブも、やや違う意味でここに入る。あとはイラアドとかカード性能に惹かれる場合も原則ここ。
⑤懐事情
直近の出番からの期間やその出番の形式など。条件が良ければ資産は増えているはず。さらに、そのアイドルが単推しされやすいかも考慮した方が良いと思う。

CASE1:第3回・本田未央(②,③)
上の方でリンクを載せたブログにあるように、アニメ化の発表がされた1stライブを跨ぐ形でニュージェネ3人が月末ガチャで登場し、それまでもそこそこの順位につけていた凛・卯月だけでなく2年連続圏外だった未央の順位も急上昇した。ライブ1日目に発表されたデレアニのキービジュに未央がいたことへの反応も含め、(偉そうな言い方だが)未央Pの“誠意”という名の票が注ぎ込まれたのではないだろうか。

CASE2:第4回・塩見周子(②,③,④)
「ありすに負けた女」という情報ひとつを運営が最大限に膨らませたような形。3rdライブ以前でありすにまつわるネガティブな感情もあったことも知らないはずがない中で、敗者へのセカンド(あるいはラストにも見える)チャンスを与え、課金煽りの材料にしたのは正直サイコパスの所業に思える。同情票のみを切り離して測定することも難しく、ガチャによる後押しが大きかったとみなせるだろう。

CASE3:第7回・安部菜々&本田未央(③,④)
「今回なら勝てる」「3回連続頑張るのはしんどい」という、それぞれ譲れない想いのある戦いをヒートアップさせた、両者同時のモバマス月末ガチャへの抜擢。3位以下を引き離した点、互いにSSRも3周しデレステ側の選挙セットの明確な使い道も見いだせない中で「相手にガチャが来てしまっているから」互いに票を積み上げることを強いられたという点で、明確にガチャブだった。

CASE4:第7回・佐久間まゆ(④?)
デレステでの明確なガチャブの初めての例…と見せかけてそうではなかった説のある事例。選挙中の月末限定ガチャという、最高にわかりやすい課金しどころではあったが、そもそも6回で自力選挙曲圏内なので、前年比ランクダウンしたことからも、「太客はモバ寄りでデレステ層の流入に耐えた」という証明不可能な前提に立たなければガチャブだったと言い切ることは難しい。
翌年のかな子・肇の限定ガチャも前年比数位程度の押し上げにしか貢献していない(こちらは限定スカチケ登場の影響はあるだろうが)ところからは、デレステからの投票解禁も、「デレステ専への限定ガチャでの課金誘導<モバでMAX投票していた人たちの課金キャップが外れること」だったのではないか?という選挙のヤバさが見えてくる。あるいは、ガチャチケというなまじ汎用性の高いアイテムが手に入ってしまうため、逆に「期限付きだし、いま目の前にある担当の出番で担当を引ける分だけ買えばよくね?」的な発想の人も多かったのかもしれない。いずれにせよ、「ただ期間中にガチャで登場するだけ」ではデレステ層に強くは響かず、旧来のガチャブが力を失いつつあることを、このまゆガチャから感じることができるだろう。(翌年の8回でモバの月末で登場しても、デレステ票・声つけ浮動票を捲れなかった点からも同様の空気を見出せる)
(このまゆが賛否両論のピエロ衣装であることは重要視しないものとする)

CASE5:第9回・新田美波(⑤)
選挙中の単独フェスでしっかり順位を上げた。同条件に蘭子・美穂もいるが、同様の結果は出ておらず、美波とは条件が違ったのではないか?ということを述べたい。
9回と7,8回の違いは、「課金票のインフレ」「モバ・ステ間の格差是正」「モバマス運営の縮小発表後」「お得石の販売開始後」という点である。これまで総選挙に課金する場合、モバゲー版に重点を置いて、ガチャで目玉を引き当て資産化するという動きが基本だった(4,5回に突っ張らなかった人の言い訳に「値崩れが怖かった」というのがあるらしい)。しかし、票数面でもコンテンツの先行き面でもモバマスの勢力が弱まると、相対的にデレステでの課金を優先する機運が高まるのは自然なことだろう。さらに、課金票のインフレおよび中間発表の廃止により、自分の投票の成果を無課金浮動票がひっくり返す、というようなことは起きにくくなった。こういった環境の変化と、月末限定と違って目当てを引いた後でも天井する意味の大きいフェスという形式が相まって、美波フェスでの課金のハードルはだいぶ下がっていた=ガチャブとして機能していたといえるだろう。ニュージェネ3人が同時に登場した限定ガチャの方も、セットで揃えたいと感じた人がある程度いて、課金のハードルを下げていた可能性は充分にある(凛Pは美波フェスに力を入れていそうだが)。
(個人的には、ガチャブと直接の関係はないが、中の人のご結婚直後に順位が下がるという情けないことを回避しようとした美波Pの気概もあったんじゃないか?と勘ぐっている)

こうしていくつかの事例をみてきたが、4節で自分のあげたガチャブか否かは結果に依るものである、と結論づけても良いような気がする。
一方で、9回での選挙セットの大きな変質を見過ごすことはできず、四要素の中でも、“希少性”に注目しながらガチャブの形を描き直すことは必要だろう。

 

6.“現代版”ガチャブをあらためて探る

前節の最後で書いたように、“希少性”の変質について考えることがこれからのガチャブの性質を探ることに大きな意味を持っていると思われる。
感覚の問題ではあるのだが、これまでデレステでガチャブを受けてきたように見える子の中で、大きく順位を上げた美波以外の印象がいまいち薄いのは何故かを考えると、おそらく「ガチャブ信仰の希薄化」にヒントがあるような気がする。

モバマスが主戦場だった頃の総選挙での選挙中の月末は、それ自体が“選抜”あるいは“運営からの試練”であったような雰囲気がある。これを乗り切れば声がついたりCGに抜擢されたりといったご褒美があるよ、というわかりやすい指標ー大袈裟に言えば神託のようなものーで、また、そもそもの供給の絶対数が少ない中で、選挙関連の出番には大きな価値があった。

それが、いつしかデレステ発のCDシリーズが多数展開されて供給量も増え、それに伴い声付きアイドルの半数近くを占める総選挙圏外アイドル達の出番も目立つようになり、選挙の価値は相対的に落ちた。
そして、第5回総選挙では、すでに放映は終わっていたデレアニの物語を完結させんとばかりに“シンデレラプロジェクト&プロジェクトクローネ&先輩組”という面子を月末ガチャに配置した。前年の選挙成績を鑑みると、卯月以外は明確な成果を期待しにくく、結果もその通りだった。この流れは6回も同じで、7回で1位候補&2位候補に同時にガチャブ、8回は2位、9回は3位候補にガチャブという微妙な差異はあれど、明確な“卯月枠”以外は月末に抜擢されても最上位に食い込みにくくなった。“意外性”の高いガチャブに応えるにはPの数も心の準備も足りていない場合が多く、成果を期待しにくい場合は浮動票も流れ込みにくいのだろう。

同時に、運営がわざわざガチャブをあてがわずとも、上位に食い込んだボイス未実装アイドルは、勝手に伸びていった。この動きには(、なんならCG争いの方でも)「いつか自分の番だ」という打算・待ちの姿勢がなかったとは言いづらく、選挙の回数を重ね、無課金票も増え、CGの威光が相対的に薄れていくのも相まって、こうした諸々の理由が、「選挙疲れ」「選挙離れ」的現象を引き起こしていったことは想像に難くない。

そんな中、月末ガチャの意味合いはどう変化してきただろう。モバマス側の月末ガチャが“CGの選択肢提示”から“対抗馬に夢を見させる”的なものに変わり、モバマスの停滞も合わさって、浮動票はボイス獲得を目指す層に流れていった。「声つけの流れに乗る」ことで簡単に選挙で感動体験ができるようになり、そうなると、がっつり投資し自分の担当の順位を上げることを目的としたガチャブの効果は期待しにくくなるのは自然だろう。

そして、俗に言う“逆ブ”、選挙期間直前のガチャでの出番は大ダメージである…はずだった。ガチャブの形を見直すにあたり、希少性に注目すると上に書き、ここまでは、「(希少な)運営からのチャンスである」と感じる感覚の鈍化に注目してきた。ここからは今のデレステにおいてガチャでの出番が真に希少であるのかを考える。

注目すべき点は「再取得できるまでの時間」「担当アイドルの数」の2点だろう。

まず前者について。ここでは主に、フェス限での出番は恒常的なガチャブたりうるという提起を行う。フェスが毎月2回開催になった今、フェス限はブランであれノワールであれ、初ピックアップ時に取りこぼしても翌月のフェスで天井すれば回収できるのだ。(そのためフェスをちまちま引くのは愚の骨頂だったりするのだがそれは置いておいて、)フェス限を初登場時に引くことで得られるのは、再取得が可能になるまでの「性能面でのリード」「担当Pとしての面子」であるといえる。前者が水物であることはスコアタ層は充分に理解していると思われるのでスルーし、後者に注目する。

果たして今のデレステに、かつてのモバマス的なソーシャル的同調圧力はあるだろうか。いま、「2~3ヶ月最新衣装でMVを見るのを諦める」ことの表明や実践は不義理とみなされるだろうか。今日これから来るノワールが誰であれ、選挙期間中の最新衣装を着せたダイマができなくなることの他に、来月のノワールフェスに選挙セットのガチャチケを使うのではなく、これからの3日間に引く意味はあるだろうか。月末限定での出番はともかく、総選挙に先んじたフェスについては本当に逆ブだろうか。自分は、愛を示すことよりも総選挙で好成績を残すことの方がプロデューサー然としていると考える。
さらに、この観点から言うと、選挙以前のフェスで出番のあった子たちは皆ガチャブを受けているという見方ができるだろう。極論を言えばフェスでスカウトしたいカードが(担当のものでなくても)1枚でもあれば、選挙セットを(ひとまず)30点購入するには充分な動機たりうるのだ。

そして、ガチャブたりうる範囲を広げて考える際に「担当の数」の問題も見過ごせない。これは言い換えると「無償石の貯蓄」「選挙セットの使い道」の話になる。現在のデレステでは、プレパスに加入し一日平均20分くらい遊べば、年に2回天井できるくらいの無償石が貯まる。お得石をコツコツ買うと、さらに年間3天井分くらいになる。担当が一人しかいない人は、仮に選挙中のガチャの出番があっても無償石で悠々天井できるし、選挙セットを積んでも適当なフェスでの戦力補強くらいしかできない。一方で選挙セットのガチャチケを使うハードルの低い人は、選挙時点で欲しいカードが1枚も無かったり、選挙中の出番も自分に関係ないものだったとしても、楽観的に選挙セットを積めるだろう。
この観点に立つと(、あまり具体的な話はしたくないが)、今回、5枚目待ちの人気上位勢のPは(ガチャチケを使いたいと思える該当者の数に応じてその分)選挙セットを少ない抵抗感で買えるということになる。つまり、選挙セットの期限である半年以内のガチャでの出番が期待されているという状態で、担当内でこの感覚が共有され、それに則り活動する人が多く、実際に順位が伸びた場合、(たとえその出番予想が現実的でなくても、)もはやそれは実質的なガチャブと言えるだろう。極論、半年以内に出番があると思えればそれはガチャブがかかっている状態に等しいのだ。
担当の数という話に戻ると、特訓前後スタラン20というような究極的な愛の表明をしない限り、ガチャの出番で支出できる(≒そうしたいと思える)金額には天井があるため、(ある程度等しく課金して追っていることを前提に)複数アイドルを担当しているPが多くついているアイドルほど、天井後にガチャチケを余らせることへの抵抗感が希薄になるため、総選挙中の出番の効果が増すということになる。

ここまで語ってきたことは、あくまでも、無理に課金して総選挙、ひいてはデレマスを盛り上げろ的な意味ではなく、課金の予定があるなら4~5月に集約したら?程度の話。好きのキモチに上も下もない、が、選挙での貢献度の差異はあるので。
とはいえ、課金層の票の行き先、お金の行き先がほぼ固定化されてきたような昨今の状況や、今見てきたことから、ただ選挙期間中あるいは期間外の出番をピックアップしてあげつらうことはもはや不可能だろう。

これからは、“選挙を重要視する陣営に”、“ガチャチケを腐らせない雰囲気を見せる”ことができるかという点にかかっているのではないだろうか(主語は運営)。後者は個人の好みの問題であり、これまで運営が示してきた「ここしかない」という切迫感のあるガチャブはもう死んだと言えそうなことは、これまで散々書いてきたと思う。

それでは、もう選挙に物語はなく、省エネ的に持ち回りで自分の番を待つだけになったのだろうか。
個人的にもこの停滞感は否めないとは思うが、それを打破しうるのが、上に書いた“選挙を重要視する”というマインドの浸透でないかと考えている。運営が(主に兼任)Pの動向や嗜好を正確に掴みその期待に応えうる施策を打つのはもちろんとして、私たちも「多くのアイドルがガチャブの当事者たりうる」「選挙中の課金の方が長い目で見ると得する」という意識を持ちながら動いてみると、他者理解や交流を通じた好循環が生まれそうな気がする、という曖昧な希望を抱きつつ、この文章を〆る。

 

7.その他

①イベブについて
モバゲーの話がほとんどになるのと、話がとっ散らかりすぎるのでスルーした。昔であれば効果がないとは思わない。

②新陳代謝について
ガチャブを結果論とするときに、新陳代謝によって順位を伸ばしている層にガチャブがかかっていたように見える場合を無視するのはどうかと思ったが、証明不可能なのでスルーした。

③今後の更新について
noteの、文字と写真のベタ打ちにしか向いてないのに隙あらばマネタイズを試みて他者にいいねを飛ばしてくるユーザーが怖いので、今後ははてブロで更新することにし、少しずつ記事を移していきます。