脳とおたく心のノートとなるトコロ

しらこ(Tw:triad_prms)の雑記。アイマスの話が多くなりそう

『君ステ』イベントコミュの覚え書き

2021/02/07 22:28投稿
あまりスクショを撮る習慣がないなか、勢いで書き上げてしまったので、いつか丁寧に画像を差し込みたい。



 先日、デレステにて『君のステージ衣装、本当は…』イベントが終了した。

タイミング等の自分の環境とイベントの噛み合いが大きかったので、3桁順位に少し届かないくらいのペースで走った。

もちろんこれくらいの順位なら全力疾走というわけではないが、それなりに時間を使ったので、その延長としてコミュも咀嚼しておきたいと感じた。
特に、今回のイベントは「エモい」「感情になった」というような雑な切り方が可能な上に、特定のキャラに沿った曲でないこと、新年ライブのフル尺披露が先行したことから、オリジナルメンバーの存在感が薄れてしまいそうな印象がある。
(少なくとも自分の中で、)それを回避するために、メモ書き程度に感想を記録しておく。

 

1 前提

【今回のコミュには“目的”があった】
 自分は、デレステのコミュは大まかに二種類に分けられると考えている。
 ひとつ目が「特定の状況下でキャラが動いているパターン」、もうひとつが「特定の結果のためにキャラが動かされているパターン」だ。どちらが良い悪いという話ではないが、先行していたしんげきえくすてのEDイベコミュが二つとも前者だったのに対し、今回は後者だったと言える。今回のコミュでは比奈のアイドル観の補強と、千夜の今後の変化の兆しを描くことが目的とされていただろう。

【コミュ内の客観的描写は、その時点での運営のアイドル観】
 今回のイベコミュにおいては、当て書きされたキャラでMV撮影を行うという設定のため、デレステ世界におけるモブ(MV監督)が各アイドルをイメージする描写がされていた。
 各アイドルも、脚本や行動の真意について悩むことはあれど、それぞれのキャラ造形自体に大きな疑問を抱いていないことから、監督の描いたキャラは大まかに(デレステ世界での)パブリックイメージと本人の自己認識を調和させたものだったと言えるだろう。

2 おさらい

2−1 大まかなあらすじ

 『君ステ』イベでは新曲にあわせたMVの撮影にまつわるエピソードが描かれている。このMVはイベントメンバーそれぞれから当て書きされた同名のキャラクターたちの青春の1シーンを描いたもので、メンバーはそのキャラクターと自己との乖離を埋めつつ、「変わることの是非」や「青春観」について考えを深めていく。

 

2−2 MVでのそれぞれのキャラ設定

カナデ‥学年が他の4人のひとつ上。海外留学を控えている。(チヨのことを想っている?)
チヨ‥カナデに憧れながらも最後まで気持ちを伝えられない
ヒナ‥チヨの気持ちを理解して応援する。密かにチヨのことを想いだす
リサ‥カナデと昔ながらの知り合いで周りをよく見ている
ユキミ‥みんなの中でのマスコット的存在

 

2−3 時系列の整理

①コミュ時系列(カッコ内は該当コミュ)
1.顔合わせ(OP)
2.MV監督との打ち合わせ(OP)
3.奏:監督に役作りのための相談(1)。翌日から周りと距離を置く(2~)
4.比奈:Pからメンバーを見ているよう頼まれる(2)
5.メンバーで高校生らしいことをする&雪美の疑問を解く(1)
6.千夜・梨沙:劇中の行動の是非について考える(2)
7.奏・比奈:上の話を盗み聞き、奏は監督との話を比奈に共有する(2,4)
8.MV内のダンスパートの撮影(3,千夜SR)
9.千夜・奏:千夜は自分の変化の兆しを奏に伝える(3)
10.比奈:口を滑らせ奏の秘密を他のメンバーに話す(3,4)
11.梨沙・千夜・雪美:奏に報いるため、より頑張ることを決める(4)
12.比奈:秘密を喋った話を奏に報告(5)
13.梨沙:全員が対等なのだと比奈に伝える(5)
14.比奈:Pとの対話で、自分もまだ青春できると決意(5,比奈SR)
15.比奈:縁の下でメンバーを支えていたことに感謝される(ED)

②MVの物語の時系列
1.チヨがカナデと出会う(19/09/07(月) 16:32)
2.チヨがカナデと知り合いだったリサの後押しでカナデと交流する(同日)
3.1回目の自撮り(同日)
4.5人が仲良くなり1年経過(冬→春→夏→秋)
5.カナデが留学することが判明する(20/11/28(日) 19:50)
6.2回目の自撮り(5の翌日(仮))

3 個人的ポイント

3−1 構図

①MVの中心としてフォーカスされているのは奏と千夜。コミュの中心は比奈と千夜
 ゲーム内のアニメMVはカナデとチヨの物語に見える。一方でコミュでは比奈の存在感が大きく、そこにはやや違和感があるが、それが5話の「ヒナの「君」はチヨ」というテキストで比奈がフォーカスされる理由に気付かされ、『君ステ』の楽曲の見え方まで一変する。私たちの多くはヒナのように主人公でもヒロインでもなく、比奈のように青春に未練がある。比奈が大人であろうとすることや自分の性格・性質にこだわって振り切れない姿には一定の普遍性があるからこそ、チヨとカナデの綺麗な物語の影にあったヒナの複雑な秘めた想いに惹かれる。
 アニメMVという形式にも言及が必要だろう。昨年『シンプロ』の3DMVが無いことは問題だった。昨今の情勢が絡んでいるのだろうが、常態化すればデレステの根幹(=全員が全ての曲で踊れる)を揺るがしかねなかったからだ。また、イベコミュとアニメMVの関連性が薄く、しんげきEDの映像をただ使い回されたように見えるのも大きかった。『ダイアテ』では、テキスト媒体では表現の限界があった戦闘シーンがアニメMVで描かれているというような形になり、アニメMVはイベコミュの補完に役立っていた。そして『君ステ』アニメMVは、キャラが当て書きされたという設定とコミュ内でMV撮影を行うという設定があったために、理屈の上では“今回のメンバーでないと成立しない物語”となった。3DMVが無いことは決して良いことではないが、少なくともライター側のアニメMVの意味付けは段々上手になっている。(ラスト一曲で普通にひっくり返しそうなのがデレステだが)

②自分の役をスムーズに受け入れたのは奏と梨沙。本人と役のキャラクターが似ていたのは雪美と比奈
 例えば、雪美は誰にでも優しいし、集団の中で年下であることが多いので、周りからも優しくされかわいがられる。そういう存在は確かに端的に言えば「マスコット的」なのだが、意図的な振る舞いだとするとちょっと黒いキャラになってしまうので自覚はない。また、梨沙は今回のイベントメンバーの中で唯一ズバっとものを言う子で、この真っ直ぐさと行動力がリサのキャラとして設定された「カナデと知り合い」「周りをよく見る」という性質と合わさり、コミュもMVも物語が動く。この二人は『シンプロ』のこずえ・『ダイアテ』のナターリアと同じ枠(19年新規ボイス組の歌唱曲増加目的)なので、出演に必然性はなく役割理論的に動かされていた感じはあった。
 カナデのキャラは、奏が普段努力して表出させているものに近く、決して自然体ではない(梨沙との違いはここ)。この辺りは『Pretty Liar』コミュで散々擦られていた内容。デレステ世界の速水奏のパブリックイメージはアニメMV内のカナデに近いものなのだろう。
 比奈は学生・青春を演じること自体に抵抗はあるものの、カナデに憧れ変わっていくチヨに眩しさを感じるヒナとは通じている。眼鏡を外したチヨとつけたままのヒナ、というわかりやすい対比のために監督に利用された感も出ていて、正直比奈のキャラはデレステ世界内でもわかりやすくパッとはしていないという位置付けにあるような気もする。しかし、比奈は今回のコミュで誰よりも献身的に動いていたし、わかりやすくテキストで過去やそれとの対峙や新たな決意が示され、少なくとも現実世界ではキャラが濃くなったといえる。

③今後への布石
 千夜は監督が描いたキャラとコミュの中で本人が気付きつつある想いが少しずれていく。自分という存在を「お嬢様の従僕」として規定している千夜は、変化と距離を置いている。チヨと千夜は似ているが、千夜はそもそもカナデに惹かれること自体を良しとしない。しかし今回のコミュでチヨを演じた千夜は、アイドルになってから自分の中に何かが芽生えていたことに気付いてしまった。この何かはPやちとせへの恋慕でもいいし、アイドルへの情熱でもいいだろう(現段階では不明)。雪美に温められ、梨沙に巻き込まれ、奏に諭され、比奈に支えられた千夜は、自分自身は変わってもカナデとの関係性は変えられなかったチヨの一歩先に歩み出そうとしている。(ちゃんとキャラを変えるならあと1~2イベくらい主役級になりそうだが、次イベで何事もなかったかのように毒舌冷血メイドに戻ってしまっている可能性もあるのがデレステ)

 

3−2 キャラ同士の関係性ピックアップ

①奏&比奈
 自分には年長者の役割は向いていないと口では言いながら、(口を滑らせたこと以外は)しっかりやった比奈。奏はそんな比奈をさん付けで呼び、謝意を示しながらも“ずるい人”と称する。速水奏、自分が背伸びしてやっている事を地に足つけたままできる大人をずるい人認定しがち。狡い、ではなく羨ましい、の意。
 ただ、楓・美波・加蓮・フレデリカあたりとの距離感・関係性では無かった。もちろん比奈は「憧れになるために離れる」という奏の言葉から「自分はカナデで居続けられない」という行間を読めるだろうし、その点で言うと奏は見せるものは見せて比奈を頼ったが、相変わらずパーソナルスペースは広かった。とはいえ上にも書いたが、奏が偶像を演じている話を、より主役に適した二人がいるコミュで擦るものでもないので、今回のメンバーとそこまで仲良くなった感じがないことについては割り切りが必要っぽい。
 カナデとヒナの話だが、「奏、留学するらしい…」とヒナが皆に伝えた時、ヒナの姿だけ映らないのはいい演出だと感じた。ヒナはカナデとチヨが離ればなれになることを、綺麗な気持ちだけでは受け入れられないだろう。ただ、それでもカナデが留学することを打ち明けたのはヒナだった(普通に教師づてで聞いたかもしれないが)。カナデはチヨやヒナの想いを察していた可能性すらあるし、この辺の機微は解釈の余地が残されていてよかった。

②奏&梨沙
 二人とも背伸びをしていて負けず嫌いでイジり/ツッコミキャラという共通点があり、互いに仕事への姿勢について理解と信頼を見せていたが、気になったのはこれまでに互いのそれが見えるレベルでの交流はあったかどうか。見える描写上ではほぼ初対面のような気もするが、メタ的にみると、二人のようなキャラが他人のキャラクター性について言及するのは比較的自然だし、そういった言及がさりげないキャラ紹介になるという面はあるかもしれない。
 終盤で梨沙は奏が「けっこうカッコつけ」だとわかり、それを直接伝えて軽くイジろうとするが「褒めてもらえて、嬉しいわ」と笑顔でかわされる。このあたりは、二人の違いが出ていたり、距離が縮まったように見えたりという感があった。

③奏&千夜
 3話、「奏さんはカナデと似ている」という一言に、奏の自己隔離が上手くいったこと、千夜がチヨに寄りだしていることが見える。奏はカナデと楓を重ね、カナデを演じるために努力しているが、少なくとも千夜と監督からは奏も楓側の人間と見られている。正直『Pretty Liar』イベで奏は階梯を上ったような雰囲気はあり、今回千夜の背中を押したのは、美波に助言をした『Secret Daybreak』イベと通じていた。
 奏と千夜の髪型が少し似ていることが活かされたコミュでもあった。メガネのチヨはヒナの仲間だが、裸眼のチヨは髪型が目立ってカナデのフォロワーに見える。ヒナはメガネを外したチヨがさらに眩しく見えただろうか。それとも共通項を失って寂しかっただろうか。
 梨沙の複数回の言及、比奈・千夜との対話により、カナデを演じるために距離を置いていたはずの奏のキャラもいろいろな側面から描写された。原則このコンテンツでは側面が多ければ多いほど強いのでありがたい。

3−3 その他小ネタ・妄想

①チヨとカナデの出会いの日と最後の日(19年9月7日(月),20年11月29日(月))
 しんげきEDに『君ステ』が使われたのは20年11月3日配信回から。しんげきえくすては4~8月は隔週放送だったので8週分ズレており、本来は20年9月8日配信回から同年11月17日配信回まで使われる予定だったことがうかがえる。
 7日と8日の1日のズレと、そもそも19年9月7日は土曜日なことから、一見意味なく設定された日付に見える。しかし、同日を振り返ってみると、『TRUE COLORS』イベ終盤(イベは8日まで)だったことがわかった。2DリッチMVでの目を輝かせたぷちデレラが印象的だった『TC』だが、イベコミュはざっくりと言うとアニバライブに向けて頑張るというようなお話だった。
 ここで、『TC』イベ期間とコミュ展開の日割りが対応していると考えると、19/09/07はアニバライブ直前といえる。要は、眼鏡チヨとアニバライブ前千夜、二度目の自撮りまでのチヨとアニバライブ後千夜が対応し、カナデと出会って変わり出すチヨとアニバライブで何かを感じた千夜が重なって見えるということ。『君ステ』の本来の公開日と『TC』イベのタイミングがまさかの噛み合い方をしたことによって、妄想の幅が広がった。
 『TC』の話を抜きにしても、日程通りに『君ステ』が流れても、日付の上では昨日(MV内9/7)までの眼鏡チヨと、EDの最後の今日(現実世界9/8)の裸眼チヨという比較が成立していた。(また、ED尺で使われていない部分に日付ネタが仕込まれているということから、しんげき曲はEDとして公開されるタイミングですでに2分尺のアニメが作られているであろうことが推測できる)
 そして、カナデの留学が判明しチヨが何かを決意する20年11月28日(日曜)について。こちらの日付は(、わざわざ言及するまでもないが)、シンデレラガールズ自体が歳を重ね成長する日だ。つまり、ここでは、眼鏡チヨと8年目のデレマス、裸眼チヨと9年目のデレマスが対応している。当初『君ステ』のED期間終盤となるはずだったアニバ直前期の演出としてはなかなか乙なものだ。他には、このシーンからは、仲良しの皆が離れているのは日曜(の夜)くらいなのだろうという推測ができる(あと、時刻19時50分は、(留学に)いく・ゴーの語呂合わせのダジャレな気がする)。
 最後に、曜日のズレについて。出会いの日も最後の自撮りの日(と思われる日)も、月曜日だ。月曜日が新しいことが起きる日・始まりの日であると同時に、そもそも日と曜日の整合性をとるつもりがない中で“速水奏にまつわる物語”を描くときに、月火水木金のどの曜日がわかりやすくそれを示唆できるかを考えると、答えが出る。
 長々と妄想を綴ったが、もちろん全部適当に、曜日のズレも作りものであることを強調するためだけに決めたのかもしれない。

モノクロームリリィのオタクの幻覚
 ちとせと加蓮がしんげきで絡んだと思ったら千夜と奏が関係性を構築していた。4人ともGRシリーズが実質未消化であることが引っかかる。『秋めいて〜』や『躍る〜』が未消化なことは承知の上でデュオ3曲目とかいう暴挙に期待しているオタクなので、複雑な思いでいる。

速水奏の留学先がドイツ(語圏)として描かれたこと
 周りより先輩かつMV内で1年間経過しているので、カナデはMV終了時点で高校3年生。このタイミングで短期留学・語学留学というのも考えづらく、ドイツの大学に進学するという進路へ向かうと思われる。
 なぜドイツ(仮)かというと、おそらく速水奏は哲学を学びたいからだ(哲学の本場として一般的にイメージされるのがドイツ)。同じく本場のフランスでない理由は、今回のコミュに関係のないフレデリカを連想させることを避けた程度と思われ、どちらが速水奏に相応しいかまで練ってはいないだろう。
 これまでやたら哲学分野の知識を披露してくれていた速水奏のアイドル以外のifが高精細で示されたのは大変ありがたい。そして、ただの劇中劇でなく当て書きのキャラであるという設定は速水奏のキャラクターの一側面としてそういったものがあることの説得力を強めてくれる。個人的には私文の文学部哲学科速水奏を妄想していたけれど、そうだよね、奏はもっと頑張れる子だよね…というちょっとした申し訳なさと嬉しさがある。

 

4 まとめ

 アニメMV・イベコミュ・現実の日付・イベントメンバーのキャラクターが密接に絡み合い、表義的意味と象徴的意味がしっかり与えられつつも、5人の過ごした1年や各メンバーの本意という、明らかにされず私たちに委ねられた“遊び”もある『君ステ』。意図主義的見地にたってみても、各アイドルの行動は各アイドルのキャラクターから導かれる自然なものであったにも関わらず比奈の掘り下げと千夜の成長を描くことに成功していたといえる。
 何より私たちは比奈とヒナの視点から物語を見ることで、何でもないことが大切な思い出になる青春の不思議さ、(人によっては)そんな青春すらない悲しさ、自分の想いを秘めてピエロとして恋を応援する辛さなんかがどっと勢いよく押し寄せる訳なのだが、だからこそ比奈が今回得た気付きはより輝きを増すのだろう。

 最後に、ほぼ落書きだが、歌詞について。
 “僕”と“君”はP-ドルだろうと古参オタ-ドルだろうとその辺はなんでもいいと思うが、恋の歌要素はありそうなのでその辺は汲んだほうが良さそう。
 個人的には、金木犀花言葉を“初恋”でとり、「このこと」=「自分の恋心」、「秋のピエロ」=「(堀口大学の詩ベースで、)悲しくても本心を伝えられない存在」=「(古典的イメージで、)成就する恋とは無縁な道化」くらいでとると、「(自分の恋心にも真剣・本気になれず、)恋心を“君”に届けたのがピエロだからこの恋はそもそもうまくいかないんだ…」という雰囲気になり、ラスサビすら未練たらたらで振り切れない“僕”の態度が一貫する。
 他は歌詞通りコミュ通り、変わることが怖い“僕”とどんどん変わっていく“君”の対比がぐっさぐさに刺さる曲。演者さんも君ステが好きな方が多いようなので、これからのライブでいろんなメンバーで毎回やってほしいです、おわり